#01「始まりと終わりのプロローグ」
秋葉原を拠点に活動している発明サークル、未来ガジェット研究所(通称:ラボ)の設立者、岡部倫太郎はサークルメンバーで幼なじみの椎名まゆりとともに、ラジ館で行われる中鉢博士の講演へと足を運んだ。講演の最中、中鉢博士が提唱するタイムマシン理論に異議を唱えた岡部は、ひとりの少女に連れ出される。彼女の名は牧瀬紅莉栖。米国の科学誌に論文を発表するほどの才媛である。しかし──紅莉栖と別れた直後、ラジ館に悲鳴が響く。駆けつけた岡部が見たのは、先ほど知り合ったばかりの紅莉栖が、無惨にも血の海に沈んでいた姿であった。動転した岡部はラボのメンバーのダルこと橋田至に、事件の顛末をケータイでメールする。送信ボタンを押した瞬間、岡部の周囲が静寂に包まれ、秋葉原の街から人影が消えた。一瞬の混乱ののち、ようやく現実世界へと引き戻された岡部が見たのは、ラジ館に落着した人工衛星と思しき物体であった。ときに、2010年7月28日──ここより、運命石の扉(シュタインズ・ゲート)が開かれる。
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【用語1】 「エル・プサイ・コングルゥ」
携帯電話で何者かと話している岡部が、電話を切る際につぶやく合い言葉。だが、携帯電話には電源が入っておらず、誰かと話しているフリをしているに過ぎない。合い言葉の語源は不明だが、似たようなものに某巨大掲示板に投稿された“ラ・ヨダソウ・スティアーナ”がある。
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【用語2】 機関
多感な年頃の青年は、常に見えない何かと戦っている。ここでいう“機関”とは、岡部が生み出した空想上の敵対勢力である。いわゆる「厨二病」設定。自らが意図しない出来事が発生したとき、岡部は往々にして“機関の妨害”によるものとしている。
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【用語3】 メタルうーぱ
“うーぱ”はインターネットでの戦いを描いた大人気アニメ「雷ネット翔(らいねっとかける)」に登場するマスコットキャラクター。このメタルうーぱはカプセルトイとして売られているコレクションフィギュアのひとつで、かなりのレアグッズである。
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【用語4】 アルパカマン
付属のマイクを使ってコミュニケーションが楽しめるゲーム『アルパカマン2』に登場する、キモカワなキャラクターのこと。10年前に発売された大ヒットゲームだが、岡部は500円の安価で購入している。懐かしの人面魚育成ゲーム『シー○ン』を彷彿させるキャラクターである。
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【用語5】 鳳凰院凶真(ほうおういんきょうま)
岡部倫太郎の真実の名であり、言わばソウルネーム……などという大層なものではなく、岡部が自称している二つ名。彼の中では、「狂気のマッドサイエンティスト」という人物設定になっているらしい。
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【用語6】 シュタインズ・ゲートの選択
岡部の脳内に存在する“大いなる意思による選択”を意味し、理解不能な出来事を目の当たりにしたときにつぶやくフレーズ。ドイツ語で石を意味する“Steins”と、英語で扉を意味する“Gate”が言葉の由来で、岡部自身は“運命石の扉”と呼んでいる。
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【用語7】 未来ガジェット1号
“未来ガジェット”とは、未来ガジェット研究所のメンバーによって開発された発明品のこと。ほとんどは用途不明のトンデモ発明品で、1号から8号まで存在するらしい。1号機の“ビット粒子砲”はオモチャの銃の中にテレビのリモコンを仕込んだだけである。
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【用語8】 大家
未来ガジェット研究所が間借りしている大檜山ビルの大家、天王寺裕吾のこと。ブラウン管テレビをこよなく愛し、1Fでブラウン管工房という専門店を営んでいる彼は、岡部からは“ミスター・ブラウン”と呼ばれている。
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【用語9】 人質
まゆりが岡部といつも一緒にいる理由。“人質”とはあくまでまゆりが自称している立場であって、本来の意味とは違うものらしい。重度の厨二病患者である岡部に深入りにしないように忠告する天王寺に対して、「まゆしぃはオカリンの人質なのです」と返した。
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【用語10】 電話レンジ(仮)
未来ガジェット8号機の呼称。正式名称ではなく、あくまで(仮)ということになっている。いわゆる電子レンジに携帯電話の機能を組み込んだもので、携帯電話をリモコン代わりにしてレンジの機能を遠隔操作することが可能である。
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【用語11】 ゲルバナ
緑色のゲル状に溶けたバナナのこと。電話レンジ(仮)にバナナを入れて、特殊なタイマー入力を行うと出来上がる。本来、電話レンジ(仮)はケータイで#を押したあとに温めたい時間を入力すると作動するが、数字を入力したあとに#を押すと、ターンテーブルが通常とは逆回転した後、このような現象が起きてしまう。なぜ、このような機能が電話レンジ(仮)に備わったのかは、今のところ不明。ちなみに、ゲル状化したバナナはまゆりが食べようと買ってきたものである。
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【用語12】 大学の講義
岡部とダルはともに東京電機大学の生徒であり、この日は単位取得のためにATF(アキハバラ・テクノ・フォーラム)で開催されるセミナーに向かっていた。
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【用語13】 3通にわけて送られたメール
ダルに送った紅莉栖殺害事件を知らせるメール。数時間前に送ったはずのメールが、どういう理由か1週間前に届いていた。メールは6文字ずつ3通にわけて受信しており、文章は途中で途切れてしまっている。