#02「時間跳躍のパラノイア」
中鉢博士の講演が行われたラジ館で、何者かによって刺殺された牧瀬紅莉栖。しかし、ATFで行われたセミナーに参加した岡部が目にしたのは、何事もなかったように講義する紅莉栖の姿であった。殺されたはずの紅莉栖が生きている──理解を超えた出来事に混乱する岡部であったが、変異はそれだけではなかった。 2000年ごろにインターネット上を騒がしたジョン・タイターという自称未来人。10年の時を経て、巨大掲示板“@ちゃんねる”に彼を名乗る人物が再び現れたが、岡部以外は誰ひとりとして彼の存在を覚えてはいなかった。岡部はフェイリスのいるメイド喫茶に向かう途中、希少なレトロPC“IBN5100”を探している桐生萌郁と出会う。ラボに戻った岡部は電話レンジ(仮)の再実験を行うが──レンジの中に入れたはずのバナナはゲルバナと化し、テーブル上の房へと戻っていた。予期せぬ実験結果に驚く岡部とダル。そして、そこに姿を現したのは牧瀬紅莉栖その人であった。
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【用語1】 サイエンシー
最先端の科学技術や論文を掲載している権威ある科学誌で、世界中の科学者や科学マニアから愛読されている。牧瀬紅莉栖は若年ながら、論文がサイエンシー誌上に掲載されたほどの才媛。
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【用語2】 柳林神社
秋葉原から万世橋を渡ってすぐの場所に位置する古式ゆかしい神社。まゆりと同じ学校に通う、漆原るかの実家であり、るかの父が神主を務めている。境内では巫女装束に身を包んで掃除に勤しむ“彼”の姿が見られる。
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【用語3】 妖刀五月雨(ようとうさみだれ)
鳳凰院凶真から漆原るかへと授けられた妖刀。内なる邪悪な炎を払う“清心斬魔流”を極めるためのキーアイテム……というのが岡部の設定。その素性は秋葉原にある「武器屋本舗」にて980円で売られている、日本刀のレプリカである。
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【用語4】 「だが男だ」
奥ゆかしく礼儀正しい、まさに大和撫子(やまとなでしこ)の鑑とも言える漆原るか。しかし、彼の性別はれっきとした男性──いわゆる“男の娘”である。男性とは思えぬ可愛らしい容姿ゆえに、岡部からは“ルカ子”というニックネームで呼ばれている。
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【用語5】 おっはー
某テレビ番組をきっかけに、2000年代初頭に大流行したあいさつ言葉。ブラウン管工房のバイト面接にやってきた鈴羽が“流行語”と思い込んで岡部に使ったが、反応の鈍さに戸惑う結果に……。
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【用語6】 @ちゃんねる
インターネット上に存在する巨大掲示板で、ジャンルごとにさまざまな“板”が存在。ユーザーが議論する場となるスレッドには有象無象の書き込みが渦巻いており、「嘘を嘘と見抜く力がないと使いこなすのは難しい」とされている。
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【用語7】 ジョン・タイター
2000年にアメリカのインターネット掲示板に出現した、自称タイムトラベラー。今回は“日本人”として、2010年の@ちゃんねるに出現した。一時期大いに話題となり、関連書籍なども出ていたが、岡部とまわりにいる人物のあいだでは記憶の齟齬が生じている。なお、@ちゃんねるでは“栗悟飯とカメハメ波”というユーザーが、タイターに対して執拗に噛みついていた。
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【用語8】 SERN(セルン)
スイスのジュネーヴに拠点を置く原子核共同研究機関で、世界最大の素粒子物理研究所を運営している。最先端の実験施設を有しており、ミニブラックホール生成実験に使われた全長27kmの粒子加速器“ラージハドロンコライダー(LHC)”はつとに有名。
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【用語9】 ディストピア
楽園を意味する“ユートピア”と対局にある社会。徹底的な管理で人々の自由が奪われた社会。タイターが語る未来世界は、タイムマシン技術を独占したSERNによって管理された社会──ディストピアとなっている。タイターが過去へやってきた理由は、SERNの支配から自由を取り戻すためだという。
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【用語10】 祖父のパラドックス
タイムトラベルにまつわるパラドックス(矛盾)のひとつで、“親殺しのパラドックス”とも呼ばれる。時間を遡って自分の祖父を殺したと仮定した場合、現在の自分の存在はどうなるのか……という問題である。自分が存在したまま祖父を殺すことが不可能なのか、それとも祖父を殺した瞬間に自分の存在ごと消滅してしまうのか、さまざまな可能性が考えられている。
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【用語11】 世界線
世界は過去から未来へ流れる一本の線ではなく、少しずつ異なる無数の世界が“川”のように並行に流れている……という考え方。無数に存在する世界のことを、タイターは“世界線”と呼んでいる。掲示板でタイターは、ひとつの事件をきっかけに世界が分岐することを“世界線の移動”としていた。
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【用語12】 IBN5100
1975年にIBN社から発売されたパーソナルコンピュータで、他のIBNシリーズにはない特殊なプログラムコードが使用されている。桐生萌郁はこのレトロPCを手に入れようと探し続けているが、もともと生産台数が少なかったこともあり、現在ではきわめて入手困難。しかし、秋葉原のどこかに完動品が残っているといううわさ話がある。
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【用語13】 まゆしぃニャンニャン
蔵前橋通りから妻恋橋交差点を右折したところにあるメイド喫茶、メイクイーン+ニャン2。その店でメイドとしてアルバイトしているまゆりの呼び名のこと。なお、人気No.1メイドは独特のニャンニャン語を使いこなす小悪魔系メイド、フェイリス・ニャンニャンである。
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【用語14】 禁断の秘奥義
ギアナ高地にて苦しい鍛錬と師匠の死を乗り越えたフェイリスが編み出した秘奥義……らしい。これはあくまでフェイリス自身が作った設定であり、彼女が岡部の妄想力と渡り合える重度の厨二病の持ち主であることを意味している。