#06「蝶翼のダイバージェンス」
SERNへのハッキングに成功した岡部は、未来ガジェット研究所にラボメンを集め、円卓会議を開催する。そこで、自分たちが偶然発見した“過去へ送れるメール”を「Dメール」と命名する。特定の時間帯にメールを送信することで「電話レンジ(仮)」が放電現象を起こし、Dメールが送られると仮定した岡部は、検証すべく実験を再開。結果、「電話レンジ(仮)」の中に入れたバナナはゲルバナとなり、紅莉栖が送った岡部宛のメールは5日前の日付で届いた。世紀の大発見に浮かれる岡部であったが、危険な人体実験をもいとわないSERNの秘密を知り、さらには無関係のまゆりを巻き込んだことに一抹の不安を覚える。翌日、IBN5100を見学しようとラボに訪れた萌郁に、偶然にもDメールの存在を知られてしまった岡部は、秘密の保持のために、急遽彼女をラボメンナンバー005に認定することになる。
-
【用語1】 円卓会議
ラボメンによるミーティングのこと。アーサー王に仕える12人の騎士が円形の机を囲むように座り、彼に忠誠を誓ったという伝承が由来となっている。しかし、ラボに円卓は存在しない。そのことを指摘された岡部は「円卓はラボメンの心の中にある」と宣言する。
-
【用語2】 時を越えた郷愁への旅路(ノスタルジアドライブ)
岡部が考案した“過去へ送れるメール”の呼称案。彼の厨二病センスが炸裂したネーミングだが、ラボメンによる多数決で即座に却下されている。結局、まゆりが考案した「デロリアンメール」を紅莉栖が省略した「Dメール」に決定した。
-
【用語3】 時をかけるメール
ダルが考察した“過去へ送れるメール”の呼称案。略して「時かけ」。しかし、岡部に「メールか、少女か、バナナか、何が時をかけるのか分からない」という理由で却下された。
-
【用語4】 Dメール
「電話レンジ(仮)」を媒介にした“過去へ送れるメール”のこと。タイマーを1秒につき1時間ほど過去にメールを送信できる。送られたメールは、全角6文字か半角12文字のメールが最大3通に分けて送られ、それ以降の文字データは消失してしまう。
-
【用語5】 過去を司る女神作戦(オペレーション・ウルド)
Dメールの送信に成功したときの状況を再現するために行われた実験のこと。ウルドとは、北欧神話に登場する三姉妹の女神のひとり、「過去」を司る女神と言われる。もちろん、実験の命名者は岡部。
-
【用語6】 カー・ブラックホール
リング状の特異点を持つ、自転しているブラックホール。Dメールが過去に届くのは、「電話レンジ(仮)」で生成された極小のカー・ブラックホールに電子が注入され、ごく微量のデータのみが通過できるリング特異点ができたためと考えられる。
-
【用語7】 事象の地平線(イベント・ホライゾン)
ブラックホールの中心にある特異点を取り囲む、輪のような境界面のこと。境界面の内部では超重力が働き、光と等速以下の物質は外に向かって運動できない。境界面の内部で起きる事象は外部から観測できないため、こう呼ばれるようになった。
-
【用語8】 頼れる右腕(マイフェイバリットライトアーム)
岡部が萌郁に対し、ダルを紹介するときに使ったフレーズ。「頼りになる相棒」という意味なのだが、英語でいうことで仰々しさが増している。
-
【用語9】 スーパーハカー
居もしないスーパーハッカーを茶化すネットスラング。ネットの煽り合いに負けたユーザーが、知り合いのスーパーハッカーによる報復をちらつかせるように捨てゼリフを吐いたことが由来。真のスーパーハッカーを自負するダルは、こう呼ばれることをとても嫌がる。