#07「断層のダイバージェンス」
岡部はセカンドエディションバージョン1.03に改造した「電話レンジ(仮)」を使い、Dメールで過去を改変する実験を思いつく。紅莉栖はタイムパラドックスを危惧するが、討議の結果、ロト6の3等当選番号を記したメールを、1週間前の岡部自身に送ることに。そして、メールを送信した瞬間、岡部は世界が歪むような奇妙な感覚に襲われる。周囲との微妙な齟齬にとまどう岡部の元に、1週間前に岡部から当選番号を教えられたというるかが現れ、ロト6を購入したものの番号を間違えはずれてしまったという。そして、先程までなかったはずのドクトルペッパーがなぜかラボの机の上にあった。そう──驚くべきことに、Dメールを送った瞬間、過去が書き換わり、世界は改変されたのだ。その場に居合わせたにも関わらず、ラボメンたちは誰も実験のことを覚えておらず、改変前の記憶を持つ者は岡部ひとりであった。この不可思議な現象をジョン・タイターに訪ねた岡部は、自分が世界線を移動しても記憶を保持できる希有な存在ではないかと指摘される。さらに、タイターは岡部にこういうのだった。「ダイバージェンス1%の向こう側に世界を導き、世界の救世主になってほしい」と。
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【用語1】 電話レンジ セカンドエディションバージョン1.03
ダルの追加プログラムにより、機能が向上した「電話レンジ(仮)」のこと。命名はダルの趣味。取り付けた携帯電話から、好きな番号にDメールを転送できるように仕様変更されている。なお、岡部が扉を外してしまったため、レンジ本来の温め機能は使えなくなっている。
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【用語2】 セレブセブンティーン
過去改変の実験のためにDメールで宝くじを当てることを提案した岡部に「目的はお金」と指摘した紅莉栖。その紅莉栖に対して彼がつけたあだ名。略して「セレセブ」。岡部いわく、「紅莉栖が親の金でホテル住まいをしている」ことが由来だが、紅莉栖の実際の年齢は17歳ではなく、18歳である。岡部は語感の良さに任せて勢いでこう呼んでいるようだ。
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【用語3】 スイーツ(笑)
お菓子や果物などの甘味を「スイーツ」と表現するように、“メディアが発信した流行の情報を考え無しに享受する女性”を皮肉ったネットスラング。こちらの言うことをまったく聞かずにIBN5100を欲しがる萌郁に辟易し、思わずダルが「これはもしやスイーツ(笑)」とこぼした。
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【用語4】 うーぱクッション
爆発的人気を受けている『雷ネット翔』のマスコットキャラクター、うーぱグッズのひとつ。うーぱクッションは、うーぱの大ファンであるまゆりの趣味でラボに置かれている。疲れたときや元気のないときにムギュ~とするのがまゆりオススメの使用法である。
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【用語5】 ツンデレ
“普段はツンツンしているが二人きりになるとデレデレ状態になる”といった意味で使われる萌え用語。類型化された萌え属性、あるいは設定のひとつであり、おもに二次元女性に対して使われる。紅莉栖はツンデレと言われて即座に否定。ツンデレの意味を知っていることから、実はオタク文化に明るいのではないかと岡部とダルに疑われた。