#14「形而下のネクローシス」
まゆりの命を救うため、タイムリープを繰り返す岡部。だが、どれだけ試みようと、「まゆりの死」という結果は変わらなかった。岡部は萌郁たちの襲撃自体を回避することができないか、と考え、タイムマシンの新情報を入手した、というメールを餌に萌郁を呼び出す。萌郁と再会した岡部はすぐさま彼女の銃を奪い、萌郁がIBN5100を探すラウンダーであることと、彼女たちがラボを襲撃した理由を聞き出すが、彼女の仲間によって岡部は捕らえられる。かろうじて逃走に成功して、ラボへ戻るが、またもまゆりは萌郁の手によって殺されてしまった。タイムリープを行うものの、運命のように同じ結果に収束していくことに絶望する岡部。彼の状況を察した紅莉栖に岡部はすべてを話し、彼女の協力を得ることにする。残された時間が少ないため、5時間前にタイムリープした岡部。まゆりを救う作戦を練り始めた岡部と紅莉栖の前に突然、鈴羽が姿を見せる。すべてを知っているかのように鈴羽は語った――まゆりを救うにはこの世界線がどこにあるかを示す数値“ダイバージェンス”が1%を超えたβ世界線に到達する必要がある、と。彼女に連れられてラジ館の屋上へ赴いた岡部と紅莉栖。落着した人工衛星のかたわらに立って、鈴羽は衝撃の事実をふたりに告げる。「あたしは2036年から来たタイムトラベラー、ジョン・タイターだよ」と。
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【用語1】 アーク・リライト
萌郁がアルバイトをしているという、編集プロダクションの名前。しかし、岡部が萌郁たちがラボを襲撃する事実を告げて詰め寄ると、彼女はIBN5100の回収任務を帯びたラウンダーであり、「FB」なる者の指示で動いていることを白状した。
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【用語2】 マイフォーク
紅莉栖が今一番欲しいと思っているもの。彼女の薦めによって岡部が5時間前にタイムリープする際に、過去の自分に岡部の話を信じさせるためのキーワードとして紅莉栖が教えた。ちなみに、マイスプーンはすでに持っている。
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【用語3】 ラウンダー
ラボを襲撃した萌郁と彼女が率いていた男たちが所属する組織。IBN5100の回収を行っている。現在はタイムリープマシンおよび、それを作り上げた岡部、ダル、紅莉栖の3名を確保するために行動している。ラウンダーとSERNには何らかの関連性があるものと思われるが、現時点での詳細は不明。
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【用語4】 ダイバージェンス
ダイバージェンスとは、現在の世界線がある基準に対してどの位置にあるかを示す数値のこと。鈴羽によると、この世界は無数の世界線がより糸のように絡み合った構造をしているという。この中に含まれた世界線はすべて同じ結果へと収束する。鈴羽が持っているダイバージェンスメーターで数値を確認できる。
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【用語5】 ニキシー管
ダイバージェンスメーターに使われているデバイス。ガラス管にネオンガスを封入し、電極を発光させることで数字を表示する。1954年にアメリカで開発され、1970年代まで電子計算機などに活用された。鈴羽の話では、ダイバージェンスメーターはリーディング・シュタイナーを持つ未来の岡部が作ったものらしい。
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【用語6】 α世界線/β世界線
α世界線、およびβ世界線とは、世界線がまとまった大きな束を指す。岡部たちが今いるα世界線では、まゆりが死を迎える結果に収束する。しかし、ダイバージェンスが1%を超えたところにあるβ世界線に移動すれば、まゆりが死なない可能性が生まれる。本来、α世界線とβ世界線を行き来することはできないが、世界に、未来が大きく変わる事件が起きると世界線が分岐。このときにα世界線からβ世界線へ移動できるという。